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【富山第一高校】富山第一の選手が語る バッティング理論(2)

2016.4.19

わずか1イニングでも全員でたたみかけ、ビッグイニングを生み出す富山第一の攻撃陣。
そのバッティング技術を紐解くべく、黒田監督の打撃理論とともに、指揮官が「歴代の選手の中でも試合での勝負勘は随一」と認める好打者にスイングを解説してもらった。


基本の打撃技術を教えながら選手の感性も大事にする
 バッティング上達のためにはもちろん、基本的な体の使い方などを知っておかなければならない。それは入学から指導者が説明していくのだが、「その基本がすべてではなく、それぞれの感覚を考えた上でアドバイスをするように心掛けています」と黒田監督は言う。
「インサイドアウトで振ることと、打つポイントを前にすると確率が下がるから体の近くまで引きつけて打つ、という部分にこだわってきたんですが、甲子園に行った世代の平田真澄(亜大)とか黒田奨貴(慶大)って、ポイントを前に置いていてもレベルの高い投手に対して、体で反応してしっかりさばいていた。その打撃を見たときに、選手の感性も大事にしなきゃいけないなと思いました」

理想は木製バットでも通用するヘッドを利かせるバッティング
 ただし、やはり基礎となる土台を作ることは不可欠。黒田監督が理想とするのは、木製バットでも正しく打てる技術だという。
「昨夏のチームにいた幸山一大(ソフトバンク)はメチャクチャ遠くに飛ばすんですが、木製バットのロングティーではなかなか飛ばなかった。一方、石川達弥(山梨学院大)はロングティーでもすごい打球を飛ばす。その違いって、ヘッドの利かせ方なんですよね。80数センチの棒をいかに加速させるか。インパクトのときにヘソの前で両手がビシッと決まれば、そこが支点となってヘッドが走る。でも多くの選手は支点が決まらず、上半身の力で強引に引っ張ったり、下半身の力が弱くて体が流れてしまう。そこを教えています」


構えからテイクバック

【構えからテイクバック】
Point 1 | 内転筋を使って足を内側に絞る
「僕は大きくステップするのではなく、すぐ体重移動ができるように下半身を固定して構えています。そのときに気をつけているのは、両足を内側にギュッと絞ること。力が外側へ逃げないように内転筋を意識しています」

Point 2 | 上半身の力を抜き常に強くスイング
「力むとバットがスムーズに出てこないので、上半身はリラックスさせることが大事。また甘い球は初球からどんどん打てと言われているので、当てにいくのではなく、来た球を強く振っていく意識は常に持っていますね」



インパクト

【インパクト】
Point 1 | 下半身を意識して前足のつま先で踏ん張る
「疲れてくると地面をつかむ力が弱くなり、カカト体重になって体が開いてしまう。また足が踏ん張れないと上体は流れてしまうので、ヘッドを利かせるためにも下半身、特に左足のつま先で踏ん張ることを意識しています」

Point 2 | 最短距離で出してバットの支点を作る
「バットは最短で出し、インパクトを見て支点をしっかり作る。これは木製バットでも通用する打ち方。金属だとただ強く振るだけでも飛んでいってしまうので、練習ではまず木製を使って自分の状態を確認します」



フォロースルー

【フォロースルー】
Point 1 | 背中に当たるくらい最後まで振り切る
「基本的にフルスイングを意識しているので、フォロースルーに関しても最後までしっかり振り切ることが大事。いい打球が飛ぶときはヘッドが走ってフォロースルーが大きくなり、バットの先が背中に当たることもあります」

Point 2 | インパクト後は右ヒジで押し込む
「インパクトからフォロースルーまでは、右ヒジを押し込むイメージを持っています。これが弱いとバットでボールを切るようなスイングになってしまうので、しっかりボールを乗せてヘッドを返すことが大事ですね」


TRAINING MENU
Menu 1 | 体の可能性を高められる360度ティーバッティング
 通常のティーバッティングは、ネットに向かって真っすぐ構えるもの。だが富山第一では打者の足の位置を360度、いろいろな方向に変えた状態からボールを打つ。たとえば投げ手に対して背中を向けたら、上体をしっかり捻らなければならない。いろいろな方向から来たボールを打つことで、体のムダを省いてインパクトまで最短で加速するようになり、またスイングの可動域を拡大しておくことで通常の構えで打つことが楽だと感じられる。

Menu 2 |足の指を使うタオル巻きでつま先重心の感覚を養う
 バットを走らせるためには、下半身をしっかり止めることが必要。そのためには下半身の踏ん張り、特につま先でグッと地面をつかむ感覚が大事だ。疲れてくると足のカカトや小指側に体重が掛かり、バットが遠回りしやすくなってしまう。つま先体重の感覚を鍛えるのに効果的なのはタオル巻き。タオルを床に広げ、裸足になって足の指だけでタオルをつかんで巻いていく。それができたら今度は逆。足の指でつかみ、タオルを広げていく。

3年・内野手
谷口丈治
1年秋から不動の中軸。県大会、北信越大会で随所に勝負強さを発揮する好打者。50m走6秒1の俊足を生かした走塁も脅威。



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