学校・チーム

【乙訓】強豪ひしめく京都から新たな風を吹かせる公立校

2019.7.4
この日は夏の大会を控えた時期。6月は追い込み練習の期間で、選手らがグループに分かれて様々なメニューに分かれて汗を流していた。まず、ティーバッティングは100本を20分間で打ち込む。それが1セットで、日によってそのセット数を決める。ティーを打つ選手らの後方では80m×8本のダッシュを繰り返す選手もいる。「8本を走り終わってすぐにティーを打つんです。体が疲れた状態で、どれだけしっかり打てるか。夏場を想定した練習でもあります」と市川監督は言う。



内野では自らサポート役を買って出た3年生が、夏に備える選手たちのために、コーチらと一緒にノックを打っていた。
「こちらからそういう(サポートの)役目をやってくれとはとても言えない。生徒が自ら申し出て来てくれて、こうやってチームの力になってくれるのはありがたいですけれど、複雑な思いもありますね」
と市川監督は本音を口にする。
ベンチ入りメンバーはどうしても人数が限られるため、試合に出られない上級生が出てくるのか確かだ。だが、それでもチームのためにと率先して動いてくれる選手の気持ちを少しでも尊重し、彼らの動きを見守っている。

ノックは三か所に分かれ、自ら特守を申し出た選手もポジションに散らばる。ボールに飛びつくごとにノッカーから威勢のいい声が発せられ、選手たちの動きが実にキビキビしている。



今春センバツでベスト8入りした龍谷大平安や、昨秋は府大会準優勝、春は優勝の京都国際、戦力が充実した京都翔英など、今夏は例年以上に混戦が予想される京都。乙訓はこの春は府大会で準優勝を果たした。2年生エースの林翔大は球速が140キロに届くなど楽しみな戦力は多い。私学優勢とも言われるが、今春はセンバツ出場の福知山成美や投手力のいい立命館宇治を倒すなどメキメキと力をつけた乙訓にも頂点を狙うチャンスは十分にある。鳥羽、北嵯峨といった甲子園出場経験のある京都の公立勢の中に新たな風を吹かせる乙訓の躍動に、今後も注目だ。(取材・写真:沢井史)

練習レポート後編に続きます。

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