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【飯田哲也の目】日本ハム・大谷翔平選手の結果に対する向き合い方

2014.10.20
東京ヤクルトスワローズ、東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍した飯田哲也氏が、現役プロ野球選手の優れた能力を解説。アマチュアプレイヤーにも参考にしてほしいポイントを紹介する。


 今後に期待したい選手はたくさんいますが、注目しているのはやはり、大谷翔平選手(日本ハム)です。今季は投手として2ケタ勝利を挙げ、打者としても2ケタ本塁打を放っています。今までのプロ野球選手にはなかったスタイルですし、プロ野球を観ていない人たちでさえも「大谷ってすごいよな」と思っているでしょう。間違いなく、これからの野球界を背負っていく選手だと思いますよ。

 そして彼のすごいところは、今まで誰もやったことがないことをしているにもかかわらず、「まだまだ」と思っているところ。やっぱり、自分の活躍で試合に勝って「嬉しいです!やりました!」なんて、ただ喜んでいるだけでは成長しないと思う。周りが「すごい」と言って騒いでいるだけで、彼の中で10勝や10本塁打というのは満足できる数字ではないだろうし、「よくやったな」とは思っていないんですよね。

 今年の成長ということで言えば、体が明らかに大きくなった点でしょう。おそらく、オフシーズンの過ごし方が良かったんでしょう。見た目にも筋肉がしっかりついているし、昨年とは体がひと回り違う。体力的にも伸びているでしょうから、そりゃあ技術も向上しますよ。高校を卒業してすぐプロになって、1年である程度の給料をもらえるようになると、オフシーズンは遊びがちになる。それで潰れていく人って、本当にたくさんいるんです。また、真面目に過ごしていたとしても、じゃあ実際に何をすればいいのか、という部分が分かっていない選手も多い。ウエートトレーニングや走り込みなどをひたすらやっていればいいというわけではなく、具体的にどこの筋肉を鍛えればいいのかなど、自分に足りない部分をしっかり分かっているかどうか。そこが、期待されながら沈んでいく選手とパーンと活躍していく選手の差。大谷選手についてはいろいろな人たちから、受け答えはしっかりできているし、自分の考えもちゃんと持っている選手だと聞いています。また、何でそういう結果になったのかという部分も、しっかり考えているのだと。だからこそ、彼はどんどん伸びているのでしょう。これからも投打ともに頑張ってほしいですし、本当に楽しみですね。

構成=中里浩章

<プロフィール>
飯田哲也
スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。

飯田哲也オフィシャルブログ


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