「本物のストレート」が覚醒の気配!?
━━その一方で今季の練習試合ではストレートを捉えられて大量失点、という場面も何度かありました。
とくに今季最初の練習試合ですよね。富島(宮崎)を相手に先発し、5回9失点と苦しみました。あの頃はまだまだトレーニングが足りておらず“本物のストレート”ではなかったです。『飛ばない』と言われていたバットで結構打たれたので動揺しましたね。たしかに変化球でストライクが取れないぶん、ストレートを狙い打ちされた部分もありました。自分としてはスライダーの制球力がまだ納得できるレベルではありません。変化の曲がり始めが早く、相手に見極められることも多いからです。その結果、ボール球が増え、ストライクを取りに行ったところを痛打されるケースもありました。今でも自分の課題として残る部分なのですが、変化球全般の精度をさらに上げていかないと“本物のストレート”は生きてこないと思っています。
━━渡邉監督は「5月23日の練習中に真っすぐが良くなってきた瞬間があった」と言っていました。
自分もはっきり覚えています。ブルペン投球をしている時だったのですが、ボールの叩き具合も、指にかかる感触も“これ!”と感じる瞬間がありました。直後の四国遠征では、球速が出ていない(140キロ台前半の)わりに相手が差し込まれている様子を見て“これはいいぞ”と手応えを掴みました。それ以来“スピン量”を意識するようになり、ストレートを前に飛ばされることも少なくなったと感じています。また、夏に向けてブルペンに入る回数を増やしたところ、ストレートにキレも出てきました。
━━課題の変化球は、現在どの程度の仕上がり具合ですか?
スライダーはよりストレートに近い軌道からベース付近で曲げられるように練習しています。また、新しくフォークやツーシームも練習しています。まだ練習試合でも使っていないので夏の本番で投げるかは分かりません。いずれも遊び感覚で投げてみたら感触が良かったので、ちょっと練習してみようかなという程度で投げ始めた感じです。
━━いよいよ最後の夏です。ここまで素材を高く評価されながら、なかなか「勝利」を手にすることができていないだけに、期するものはあるはずです。
新チームになって以降は、ずっとダブルエースと言われている145㌔右腕の井上功大に頼りっぱなしで来ました。最近の練習試合では、試合後半からリリーフで登板することもありますが、本当は1試合を投げ切ってチームを勝たせるというのが自分にとっての理想です。やはり自分の持ち味はストレートなので、これを最大限に活かしてチームを勝ちに導きます。自分の投球内容より、とにかくチームが勝てばいいので。
━━将来へのイメージは描けていますか?
進路はプロ一本に絞っています。プロに行っても最初は体づくりに専念でしょう。まだまだ身長が伸びているので、なかなか体重も増えませんが、戦えるだけの体を手にしたら、そこから日本を代表する投手を目指していきます。(取材:加来慶祐/写真:編集部)
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