興南・宮城のボールは凄かった
——県大会で負けて以降のチーム状況はどんな感じだったの?
宮口 5月は招待試合が続いていて、あちこちで試合する機会が多かったんです。沖縄や宮崎で試合をして普段見られないレベルのチームを見ることができました。
杉戸 兵庫県や近隣県のチームと試合をすることが普段は多いけれど、沖縄では同じ左投手の興南の宮城投手がすごく良くて、宮城投手にヒットを2本も打たれて、ピッチャーに2本も打たれるのはダメだとか色んな経験もできました。
重宮 この時期は例年に比べて試合数も多かったですし、今まで対戦したことがない強豪と試合することで周りのレベルを知ることが良かったです。
安藤 宮城君のボールが良かったです。変化球のキレがすごくて、1打席目で三球三振してしまって.....。今まで見た左ピッチャーでは一番良かったですね。
重宮 三振して、ベンチでめっちゃ怒られとったもんな。
安藤 せめてバットを振って帰って来いって言われました。怒られる覚悟はしていました。
キャプテンの口から出た「辞める」
——チームの雰囲気が変わり始めたのはいつ頃から?
重宮 自分がキャプテンを辞めるって言い出した6月頃ですかね。自分が動かなかった間、安藤や水上がしっかりやってくれました。自分の愚痴を山口が聞いてくれることもあったし、周りが話を聞いてくれてはいました。ひとつ距離を置いてチームを見ることで足りない部分も感じたし、それ以降は自分の一言でチームが動いてくれるようになりました。
安藤 (キャプテンを辞めると言う前から)重宮の顔を見て、いつもと違うなと感じてはいたんです。重宮がいなくても、重宮の顔を見ながら話をしてきて、徐々に泥くさく野球ができるようになってきたのが6月ですね。
杉戸 重宮は誰にでも強く言えるし、キャプテンらしいキャプテンなんですよ。
重宮 いや、たぶん僕は口が悪いんです(笑)。
杉戸 口が悪いというより、表情で気持ちが伝わってくるから分かりやすいんです。
宮口 それに重宮は声が大きいですし。
安藤 そう。自分のポジションからもよく声が聞こえました。
重宮 昔から声が大きいってよく言われます。ちなみに自分、入学した時はガリガリで、2年前から20キロ以上体重が増えました(笑)。
明石商で学んだこと
——明石商でどんなことを学びましたか?宮口 (狭間)監督に、ミーティングで色々なことを言われて響く人間になれと言われました。15歳で入学してきた時は、それがどういう意味なのかさっぱり分からなかったんですけれど、この春の県大会でベンチから外れてスタンドで色々な人に声を掛けてもらっているうちに、これだけたくさんの人に見てもらっていたんだなと、周りに感謝しなければいけないという意味が分かりました。
安藤 劣勢の試合ほど粘り強さがかなりついたと思います。
重宮 甲子園の初戦(花咲徳栄戦)も接戦でしたが、負ける気がしませんでしたね。
杉戸 そういう雰囲気を監督さんが作ってくれていたと思います。
(取材・写真:沢井史)
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