トレーニング

レントゲンでわかること、わからないこと

2015.9.22

 練習や試合などでボールが当たったり、突然ケガをしたりしたとき、病院でX線撮影(いわゆるレントゲン)を行ったことのある選手は多いと思います。基本的なことですが、ケガをしたときにはまず病院で医師の診察と検査を受け、どこを痛めてしまったのかを知ることが、その後の競技復帰を大きく左右します。X線を発見したヴィルヘルム・レントゲンにちなんで、一般的にはレントゲンと呼ばれています。

 さてこのレントゲンですが、この撮影を行うことによって何がわかるのでしょうか。レントゲンは骨の損傷に対する診断に適しており、ボールが当たったところが骨折しているかどうかを確認するためにはとても有効な画像診断法といえます。打撲直後の炎症や腫れが激しい状態では、まれに微細な骨折やひびなどが映らないケースもありますが、このような場合は数日おいて改めてレントゲンを撮ることで詳細を確認するようにします。ただし骨折といっても長期的な物理的ストレスなどによって起こる疲労骨折は、なかなかレントゲンでは確認できません。骨折部分ははっきりとは映らないことが多く、骨折後、治癒過程において骨膜が再生されている状態を見てはじめて、この部分に疲労骨折の形跡があったということがわかります(疲労骨折はCT検査を受けることで確認することが出来ます)。

 レントゲンは骨のケガに対しては有効ですが、軟骨や靱帯、筋肉の損傷などは直接画像に映らないため、はっきりと診断することがむずかしい場合があります。骨の位置や左右差、骨と骨との間のすき間などからある程度予測は立てられるのですが、確定診断を得るためにはMRI(磁気共鳴画像)検査を受ける必要があります。X線ではなく磁気と電波を利用して、さまざまな断面の画像をみることができる検査です。靱帯損傷や膝の半月板損傷などはレントゲンだけでは判断しにくいため、MRI撮影を用いてより正確なケガの損傷具合を確認することになります。

 病院に行っても確定診断がつかず、何回か検査を受けることになる場合は、こうした撮影方法の特性によるものと考えられます。レントゲンでは何も異常がないという場合でも、骨性のケガではないということであって、すべてのケガを確認できるものではないことを覚えておきましょう。

レントゲンは骨のケガに対して判断しやすく、靱帯や軟骨などは映らない特性がある




  



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