トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(8)

2015.7.2

 こんにちは。野球塾リトルロックハートの大友です。今回はK君の8回目のコーチングになるわけですが、非軸脚の膝にフォーカスを当てて進めていきました。

 非軸脚を振り上げてからの接地後、膝の形は主に4種類あります。そしてこの時の膝の形次第で制球力は大きく変わってきてしまいます。制球力は非軸脚側膝の形の良し悪しでほとんど決まるのですが、4種類のうちで制球力が安定するのは実は1種類だけなんです。その4種類とは、以下になります。

1. 膝がかかとよりも手前に置かれている(制球・球威ともにアップ)
2. 膝がまっすぐ伸びて脚が突っ張っている(制球は低下するが球速はアップしやすい)
3. 膝がかかとの真上(上半身が突っ込みやすく制球・球威ともに低下)
4. 膝がかかとよりも前へ出ている(3がさらに悪化した形)

 1. 膝がかかとよりも手前に置かれている

 2. 膝がまっすぐ伸びて脚が突っ張っている

 3-4. 膝がかかとの真上もしくは出ている


 左投げのK君の場合、コーチング前の右膝はかかとの真上で足部の接地を迎え、接地後は膝が流れてかかとよりも前に出てしまう形になっていました。もし膝がかかとの真上のまま維持されていれば、まだ制球力はなんとかなっていたかもしれません。しかしかかとよりも前に出てしまうことにより、まったく制球できない状況だったのが以前のK君でした。

 ということで今回はこの膝を、かかとよりもボール1個分くらい手前に置いて、この形を維持するという動作改善作業を進めていきました。しかし、取りたい良い形は頭ではわかっていても、それを実際にやろうとするとかんたんには行きません。というのは、過去の悪い動作が体に染み込んでしまっているからです。長年に渡るこの癖を払拭することは容易ではありません。

 だからこそコーチングが必要なわけですね。ちなみにわたしのコーチングでは良い形を「教える」だけではなく、どうすれば良い形を取れるようになるのかというプロセスやアプローチ方法も、なぜそうなるのかという理由を添えながらわかりやすく「指導」していきます。

 K君の場合、並進運動時に右膝を一度伸ばすことにより、良い膝の形を取れるようになりました。このようなアプローチ方法は選手個々異なりますので、コーチが選手の動作をじっくりと観察し、たくさんの引き出しの中から適切なアプローチ方法を提供してあげる必要があるのです。

 この連載の1回目で、K君の制球力テストの結果は100点満点中36点とお伝えしました。36点というスコアは、3球に1球程度しかストライクが取れないようなレベルです。しかし今回改めて同じテストをしてみると、スコアはなんと66点までアップしました!66点まで来れば、9回を完投しても四球は3〜4個程度で収めることができます。コーチングはまだ8回目ではありますが、最初のスコアと比べると飛躍的な進歩と言えます。

 これだけ制球力がアップしたのも、今回の膝の形を含めてK君が地道に自主練習を繰り返してくれたからこそです。特に今回の膝の形の良し悪しは、制球力を支配していると言ってもまったく過言ではない部位の動作となります。ですので制球難に苦しんでいる投手は写真を参考にし、非軸足接地時に自分の膝がどのような形になっているのかをチェックしてみてください。3もしくは4の形であれば、1の形を目指して練習を続けていけば、K君のように制球力は必ずアップしていくはずです。




  



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