トレーニング

制球力を向上させるための投球動作改善(6)

2015.6.4

 こんにちは。野球塾リトルロックハートのコーチ、大友です。
 今回は大学生投手K君6回目の連載です。この日は肩関節の動かし方についてコーチングを進めていきました。

 肩関節は内側に旋回させる内旋動作と、外側に旋回させる外旋動作を取ることができるのですが、この内旋・外旋の使い方を間違ってしまうと、パフォーマンスが大幅に低下してしまうことになるのです。K君の場合は内旋・外旋の使い方が間違っていたわけではなく、動きがちょっと物足りないという状態でした。つまり内旋し切りたいところで内旋し切らず、外旋し切りたいところで外旋し切っていないという状態です。ですので今回はこの動きの改善に取り組みました。

 まず内旋・外旋の基本動作の順番ですが、セット時は両肩外旋し切っておき、投球動作が始まりスローイングアームがテイクバックに近づく過程で徐々に内旋を深めていき、テイクバックの最深部で内旋し切ります。
今度はスローイングアームをトップポジションに向けてコックアップしていくわけですが、少しずつ外旋させながらコックアップし、トップポジションで外旋し切る形にします。(厳密に言うとコックアップ後に外旋し切ったポイントを、トップポジションと呼びます)

トップポジションの良い例

トップポジションの悪い例


 トップポジションで外旋し切ったら、今度はリリースポイントに向けて徐々に内旋させていきます。この内旋過程で、指先がキャッチャーミットと正対した瞬間がストレートをリリースするポイントです。リリース後はフォロースルーになるわけですが、フォロースルーでも引き続き内旋させていきます。この動作が上手くいくと、ボールリリース直後に手のひらが上、もしくは外側を向くようになります。

フォロースルーの良い例

フォロースルーの悪い例


 以上が適切な肩関節の内旋・外旋の取り方になるわけですが、これを逆にしてしまっている選手が非常に多いのが野球界の現状です。
 逆にするとどうなってしまうかと言うと、例えばトップポジション付近で肩関節が外旋ではなく、内旋してしまうと、三角筋が大きく働いてしまいます。すると肘が肩線分まで上がりにくい骨格筋の動作形状になってしまい、この状態で投げ続けてしまうと野球肩・野球肘を発症しやすくなります。

 人間の体は元々、腕を肩よりも高く上げるための構造にはなっていません。それに加えて肩関節を内旋させてしまうと、さらに腕は上がりにくくなり、肘も肩線分まで上がってこなくなるのです。「トップポジションは肩関節を内旋させて手のひらを外側に向けた形で作る」と指導しているコーチ、書籍は今なおたくさんです。しかし人間の体の構造を知ると、これが人間の体の構造に反した動きであることを理解することができます。

 体の構造に反した動きでボールを投げれば、パフォーマンスはもちろん低下しますし、肩肘を壊してもまったく不思議ではないのです。肩関節の内旋・外旋はとてもデリケートな動作ですので、K君の写真を参考にしながら、まずはスローモーション動作で正しい内旋・外旋の順番を体に染み込ませてください。そこから徐々に運動強度を高めていき、実投球でも適切な内旋・外旋の順番で投げられるように、焦らずじっくりと投球動作の改善を目指して行ってください。




  



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