一方、冬場のトレーニングの成果で体重は100キロの大台に達した。昨秋時点では92~93キロ程度だったが、「7キロ増やす」という目標を立てて実現したのだ。
背中痛から復帰後の練習試合では、自己最速を4キロ更新する145キロをマーク。篠崎の類まれなポテンシャルを考えれば、その数字はあくまで通過点に過ぎないだろう。
そして、篠崎という投手の最大の長所は「変化球」にあるのかもしれない。130キロ台でストレートの軌道から落ちるフォークは攻略困難で、中学時代から自信を持つカーブやスライダーの精度も高い。大型投手ながら指先感覚に優れている点は、篠崎の投手としての価値を大きく高めるだろう。
希望進路はプロ一本。春の公式戦で投げられなかった篠崎にとって、この夏は自身の野球人生がかかった大会になる。
それでも、篠崎は「自分の力を見せたいという過剰な思いはありません」と語る。
「一番はチームが勝つこと。自分が投げても投げなくても、チームの勝利のために尽くしたい。それがベンチに入れなかった3年生や、応援してくれる保護者への恩返しになるので」
まずは目の前の一戦、一戦に集中する。修徳の東東京大会初戦は、7月15日の3回戦(江戸川区球場)が予定されている。
下町の巨漢右腕は、どんな姿を披露するのか。その時は刻一刻と近づいている。
(取材・文・写真:菊地高弘)
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