トレーニング

頭頸部付近への外傷

2015.5.5

頭頸部付近にボールが当たったり、フェンスや野手同士の接触があった場合に、まず考えなければいけないのは脳震盪の症状があるかどうかです。脳震盪とは脳が大きく揺らされて起こる一過性の神経機能障害のこと。大きな外力を受けることで、脳機能が一時的に低下し、さまざまな不具合をきたします。脳は頭蓋骨という大きくて硬い「入れ物」に守られていますが、中では水(=髄液)に浮いた豆腐のようなものだと想像してください。

頭頸部付近に限らず、他の部位においても大きな外力を受けた場合は、受傷した選手の症状をチェックする必要があります。

《脳震盪・脳震盪疑いのある所見》
●頭痛や「頭が重い」「頭がボーッとする」といった訴え
●めまい・ふらつき
●気分が悪い・吐き気・嘔吐
●反応が鈍い
●眠気
●記憶障害(健忘症)
●意識の喪失(短期または長期)

こうした脳震盪や脳震盪疑いの所見が見られる場合、当日の競技復帰は見送るようにしましょう。選手はプレーを希望することも多いのですが、そのまま続けるとさらに重篤な症状を引き起こす場合がありますので、周囲の人は必ずプレーを止めるようにしましょう。

頭頸部に大きな衝撃が加わった場合の応急処置としては、横になるなど楽な姿勢をとって、氷で頭部を何度か冷やすようにします。その後大きな変化が見られず日常生活に支障がない場合でも、時間の経過とともに症状が悪化することも考えられるため、受傷後24時間は必ず誰かが付き添って様子を見るようにしましょう。また浴槽につかっての長時間の入浴、激しい運動など血流の良くなることは控えるようにします。脳震盪に伴う所見や症状が複数見られるとき、悪化していると思われるときはすぐに医療機関を受診するようにしましょう。頭頸部への外傷は脳震盪だけではなく、脳内で外傷性の出血を起こしていることも考えられるからです。

野球の現場において、頭頸部付近への外傷はさほど頻度の多いものではありません。しかし重篤なケガにつながりやすいため、正しい知識と対応をぜひ知っておいてもらいたいと思います。



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