トレーニング

デッドボールへの対応

2015.5.1

 野球の練習や試合でどうしても避けられないのがデッドボールです。自己防衛としてヘルメットはもちろんのこと、エルボーガードやフットガードを装着して打席にたつ選手も多くなりましたが、それでもガードをしていない部分に当たったり、ガードの上からでもかなり強い衝撃を受けることがあります。

 試合などではボールに当たったバッターに対し、コールドスプレーを吹きかけているシーンをよく見かけますが、これは一時的に痛みを感じなくさせているに過ぎないことを理解しておきましょう。皮膚感覚には「何かがふれている(触覚)」、「押されている(圧覚)」、「温かい(温覚)」、「冷たい(冷覚)」、「痛い(痛覚)」といった感覚があり、コールドスプレーを吹きかけると冷たいガスが患部を急激に冷やすため、「痛い」という感覚よりも「冷たい」という感覚のほうが強く脳に伝わります。しかししばらく時間がたつと「やっぱり痛い」と痛みを感じることでしょう。コールドスプレーは表面の皮膚を冷やすことはできますが、根本的な解決策にはなりません。

 ボールが当たったときは痛みの程度を確認し、当たった部位を自分で動かせるかどうかを確認します。動きに支障がない場合はそのままプレーを続けることも可能ですが、試合後は必ずRICE処置を行うようにしましょう。当たった部位を自分で動かせない場合、また明らかな変形や激しい痛みがある場合は交代し、患部を動かないように固定をしたうえで冷却し(RICE処置)、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。患部を冷やすことは痛覚を鈍くさせることだけではなく、打撲による腫れや炎症を拡げないようにする目的があります。こうした初期対応が適切であれば、対応しないときと比べ、より早く競技復帰することが可能でしょう。

 頭や首などの頭頸部(とうけいぶ)、顔面へのデッドボール等については、脳震盪や顔面骨折など重篤なケースになる場合がありますので、その場でむやみやたらに動かさず、意識の確認を行った後、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。こうしたケースについてはまた詳しく解説したいと思います。




  



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