選手

【京都国際】プロ注目左腕・森下瑠大「日本一を獲ることしか考えていません」

2022.7.20

自信があるのは投球の幅

コロナによる出場辞退、左ヒジ痛。「なぜ自分ばかりこんな目に?」と不条理さを覚えても不思議ではないのでは。そう尋ねると、森下はこう答えた。

「コロナは誰がかかってもおかしくないものですし、今は『こういう試練を与えられているのかな』……ととらえています」

投げられない期間は、下半身の可動域を広げること、体幹や肩周りの筋力をつけることに注力した。取材当日の6月23日は30~40メートルほどの中距離で、キャッチボールをこなした。軽い力感の腕の振りでも指先でしっかり弾いたボールは、重力に逆らうように捕手のミットに伸びてくる。「腕を振る怖さはちょっとある」と打ち明けつつも、順調な回復ぶりをうかがわせた。

現在の体調を把握したうえで、森下に聞いてみたかったことをぶつけてみた。高校2年秋時点での最高球速は143キロと、とりたてて速くはない。打者の手元で伸びる好球質と、高精度の変化球を思うままに操る投球術で、森下は高校生とは思えない総合力を発揮している。

この投球を下支えしているのは、森下の高い思考力にあるのではないか。そんな印象を伝えると、森下は少し考えてからこう答えた。

「僕は球速がそこまで出るタイプではないので、配球をよく考えるようにしています。投球の幅は他のピッチャーよりはある自信があります」

この言葉を聞いて、マウンド上で涼しげな風情の森下が頭に浮かんだ。1球1球を全力投球するのではなく、できる限り体力をセーブしながら試合を投げ抜く。それが森下のスタイルなのではないか。そう尋ねると、森下はこう答えた。
 
「僕のピッチングの目標は、球数を減らしつつ0点で抑えながら、夏を戦い抜くことです。1人の打者への球数をいかに減らせるか。場面によっては力感なく投げることもあって、全球全力で投げるピッチャーより疲れない自信があります」


PICK UP!

新着情報