保守的思想からの脱却、30歳新任監督時代の苦悩

菅澤監督が市ケ尾監督に就いたのは2017年秋。9年前にさかのぼる。当時のチームは「夏の大会で初戦負けしないチーム」が誇りだったことから、菅澤監督はまずその価値観を見直すことから始めた。
「7年くらい連続で初戦突破していることが喜びであるチームでした。それを聞いたとき正直、そんなことはどうでもいい。初戦突破の記録は途絶えてもいいから、ベスト16、ベスト8に入れるチームを目指そうよと、話をしたのです」。
今年の夏の大会でも話題になった市ケ尾の威勢のいい入場行進。腕を高く掲げて行進する姿が賞賛されたように、当時から統制美を重視するチームカラーだった。守備練習ひとつとっても、結果よりも形を重視するスタイル。その考えを「形はいいから、まずはアウトを取ることを大事にしよう」と見直した。
入場行進の伝統はそのまま残しつつも「結果重視」の意識改革を行ったのだ。頭髪の自由化や、ピッチスマートと呼ばれる、アメリカの若年層投手のための投球制限ガイドラインを導入、低反発バットもいち早く採用した。それまでの思想や手法の真逆に近い大改革を行った。
当然、ハレーションが起こった。当時30歳だった新任監督に「なぜそこまでする?」と批判の声もあった。追い討ちをかけるように、改革初年度の秋の大会では地区予選で敗退。ここで一度、挫折を味わうことになる。
「それでも、春の大会では桐蔭学園に1点差のゲームができるまでになって、2018年夏の北神奈川大会ではベスト16入りを果たしてくれました。この代がいま振り返っても9年間で1番の成長率でしたね」と振り返る。苦しかったが、選手たちの成長に光明を見出した。






































