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山本昌氏の実弟・山本秀明日大藤沢高校監督に聞く、レジェンドの素顔と野球観 〜前編〜

2016.4.12


 著書 『ピッチングマニア』にて、自身の投球術を詳細に紹介している山本昌氏。
 タイムリー編集部では本人の素顔を知る、関係者二人にインタビューを敢行。一人目は実の弟であり、現在神奈川県の日大藤沢高校野球部を指揮する山本秀明監督に話を聞いた。
 本人の幼少期や投球術など、知られざるエピソードを詳細に語ってもらった。


破天荒な父と体が強い母から育った山本三兄弟

 50歳まで現役のプロ野球選手ですよ。「偉大」としか言えません。偉大な兄。本当にすごいと思います。
 山本家は男ばかりの三兄弟で、私の8つ上に長男、5つ上に次男の昌。普段は昌兄(まさにぃ)と呼んでいます。親から聞いた話ですけど、兄は赤ちゃんのときに家の2階から落ちて、頭蓋骨を骨折したそうです。病院に運ばれて、「今日がヤマです」と医者に言われたそうで……。昌兄は結構、無鉄砲な性格だったようです。そのとき、親父は山登りに出かけていて、「ヤマ」違いという笑い話もあるんですけどね(笑)

 親父は破天荒で、細かいことを言われた記憶はひとつもありません。何かを専門的にやっていたわけではないですけど、スポーツ万能でボウリングではパーフェクトゲームを出すぐらいの技術がありました。
母親も、あんまりうるさく言わない人でしたね。子どものときに「勉強しなさい」と言われたこともなければ、説教を食らったこともないですね。母親の自慢は体が強いこと。兄が風邪引いたところを見たことがないんですが、それは母親の血だと思います。
 
 うちは、決して裕福な家庭ではありませんでした。はっきりいってしまえば、貧乏。社会人になるまで、家族で外食をした記憶が一度しかありません。確か「すかいらーく」だったと思いますが、それっきり。子どもながらに、親が苦労していたことはわかっていたので、「迷惑をかけないように」という思いで日々過ごしたのを覚えています。それは兄も一緒だったと思います。


クワガタにラジコン、スーパーカー… マンガは本棚にびっしり大人買い

 昌兄は、一言でいえば「明るくて優しい兄」。それは、今も変わりません。弟想いで、結構かわいがってもらっていました。兄が友達と遊びに行くときには、一緒に連れて行ってもらうことも多かったです。
 
 私が小学4年生の頃だったでしょうか。『ウルトラマン大全集』が欲しかった私のために、自転車でいくつもの本屋を回って、一生懸命探してくれたこともありました。兄は覚えていないでしょうけど。
夏になると、自宅近くの赤羽根山でクワガタやカブトムシを取りに行っていましたね。山本家の季節物で、もう毎年です。学校から帰ってきたら、山に向かう。兄は今もクワガタ好きで知られていますが、それはこの頃から始まっていると思います。
 
 あとは、趣味といえばラジコンですよね。たぶん、中学生のときからです。どうやって調達したかはわかりませんが、家には小型エンジンを積める、ラジコンカーがありました。ただ、お金がなかったので、小型エンジンまでは買うことができなかったんです。プロ野球選手になってお金をもらえるようになってから、ラジコン熱が復活したのではないでしょうか。
 
 スーパーカーにはまっていた時期もあります。兄が子どもの頃は、「このエンジン音は何の車種でしょう」というクイズ番組があるぐらいのスーパーカーブーム。その影響を受けたのか、スーパーカーが展示されているショールームで一緒に写真を撮ったりしていました。実家に行くと、野球帽をかぶった兄とスーパーカーの写真がたくさんありますよ。
 
 20年ぐらい前でしょうか、名古屋の一等地に念願のマイホームを建てました。「おふくろを連れて、名古屋まで来てよ」と電話があって、みんなで行ったんです。一番驚いたのは、クローゼットのような本棚があって、そこに数えきれないぐらいのマンガが並んでいたんです。どれも一巻から最終巻まで、きれいに揃っている。大人買いをしたそうです。本人が「すごいべ?」と言うから、「すげぇよ!」って。子どもみたいに、嬉しい顔をしていました。こんなプロ野球選手も、なかなかいないでしょう?

後編に続く