学校・チーム

【小鹿野】プリンスホテル元監督 石山建一氏のバッティングメソッド(2)

2016.4.13

かつて早大やプリンスホテルで監督を務め、
数々のプロ野球選手も輩出。
球界で広く名前を知られている石山氏は、
小鹿野でもその手腕を存分に発揮している。
選手に的確なアドバイスをし、
たちまち結果を出させてしまうという
その技術指導の内容を紹介しよう。


外部コーチ
石山建一
1942年9月6日、静岡県出身。静岡高では遊撃手として3年夏に甲子園準優勝。早大でもリーグ優勝に貢献し、日本石油では都市対抗優勝を果たす。その後、早大やプリンスホテルの監督として日本一を達成。また、巨人の編成部長なども歴任した。






投手寄りの腕を利かせてテコの原理でボールを弾く

 高校生のバッティングの傾向として、後ろの手(右打者なら右手)の押し込みを意識するあまり、いわゆる“テコの原理”が使えずにただブンブン振り回すだけになってしまっている人は多い。これは一見すると強いスイングのようにも感じるが、スイングというのは本来、内側からバットが出ていってヘッドが走っていくというインサイドアウトが理想。後ろの手の力が強いスイングだとバットが内側からは出ていかず、遠回りしてインコースには詰まり、変化球には引っ掛け、アウトコースを強引に引っ張ることになってしまう。石山氏は打撃での取り組みとして、「木製バットでも通用する打ち方が大事」だと語る。
「バッティングっていうのはそもそも、バットでボールを弾き飛ばしていくもの。だからまずは各コースに対してバットを最短距離で出していき、ボールのスピードをうまく利用してテコの原理で弾く。そして、ボールをとらえてから勢いをつけてフォロースルーを大きく取っていけば、広角に強い打球が飛ぶようになるんです。そのためには投手寄りの腕の使い方、特にヒジがうまく使えるかどうかがポイント。そうすれば、スイング軌道で言うと楕円を描くようになる。投手寄りの手がしっかり利いてヘッドがビュンと走り、自然とフォロースルーも大きくなるわけです。多くの打者はスイングが円を描くように振っているのですが、それで打てているのは金属バットだから。大学や社会人、プロの世界に進んで木製バットに切り替わった途端、打てなくなる打者も多いですが、それは高校時代に金属で打つことに慣れてしまったからでしょう。金属バットを使うときも木製バットと同じような打ち方ができれば、打球はもっと伸びるし、遠くへ飛んでいくはずです」


最短距離でバットを出し下半身を使って腰を切る

 バッティングでは、バットのヘッドをできるだけ加速させてボールにぶつけていくことが大事。ただ、よく勘違いしやすいのはヘッドを走らせようとしてバットの重みを意識しすぎ、ヘッドが落ちた状態で振ってしまうことだ。テコの原理で打つためには手首がしっかり立っていなければならず、そのためには最短距離で出すことが必要。また、そもそもある程度のスピードボールをきっちり打ち返していこうと思ったら、バットをゆったりと遠回りさせている余裕などはない。イメージとしては、バットで大きなクイを真下に打つときの力の入れ具合を覚え、それをボールが来る方向にそのままぶつけていく感覚なのだという。そして、石山氏はこう話す。
「打者と投手の勝負っていうのは、体重を乗せ合っていく勝負だと思うんですよ。投手は自分で蓄えた100%の力をすべてボールに乗せてくる。一方、打者はその投球を待ち構えておいて、自分の体重をボールに乗せて打ち返していく。体重を乗せ切ることができれば打者の勝ちだし、少し差し込まれたり、逆に泳がされたりしたら、体重を乗せ切れていないので投手の勝ち。ですからタメを作っておいて、いかにタイミングを合わせて体重を乗せていくかを考えてほしいですね。それと、しっかり体重を乗せていくためにはやはり、下半身が重要。地面から受ける力を下半身でギューッと吸い上げ、腰をしっかり回し切っていくことで前足の股関節に体重が乗っていく。この腰の捻り、キレがなければ体重移動とは言えません。真横に平行移動することをイメージして頭が突っ込んでしまう人が多いのですが、しっかり腰を回してほしいですね。あとは構えでヒザを曲げすぎて、股関節が十分に動かない人も多い。もともと人間は歩くときに自然と体重移動ができているものですから、変にヒザを固める必要はなく、自然体でいい。そしてコマのように回転軸をピュッと回せば、その勢いで球は飛んでいきます」

【BATTING METHOD】
METHOD 1 | 片ヒザティー
軸足のヒザを着き、両手の間隔を空けた握りでスイングし、バットでボールを弾く感覚を養っていく。後ろの手が強いと押し出すスイングになってしまうため、テコの原理が使えているかどうかが分かりやすい。また、下半身を使わないことで上半身の動きに専念できる。これができたら今度は両手をくっつけて握り、次の段階としては、立ち上がった状態で同じように打っていくと良いだろう。


METHOD 2 | 腰の回転
 バッティングの構えからステップした状態を作っておき、両手でベルトを持ったら腰を捻って回していく。お釜にスポッとハマっているようなイメージで、取っ手(両手)がしっかり回ったかどうかを確認すること。こうして軸足の股関節から前足の股関節に体重を乗せていけば、正しい体重移動ができる。下半身を使って地面から力をギュッと押し上げていき、エネルギーを感じることも大事だ。


METHOD 3 | はたきティー
 バットが下がってしまうクセを持つ選手には特にオススメ。後ろの腕でバットを短く握り、トスしてもらったボールをハエだとイメージして、片手で上から地面にたたき落としていく。これができたら、今度は両手でバットを握ってたたいていこう。アッパースイングだとハエは逃げるが、上から手首を使ってたたけば最短距離でビシッととらえられるし、ヘッドの重さも利用して力を与えられる。




PLAYER'S INTERVIEW

3年/主将・投手
髙橋祐麻
チームの頼れる主将。1年時から出場機会を得ると秋には外野でレギュラーを獲得し、旧チームから打線の中心として活躍。新チームでは四番に座っている。

「小鹿野に入って、石山さんの指導でバッティングが良くなったという実感はあります。昔から「ガタイがいいんだからもっと思い切り振れ」と言われていたのですが、強いスイングがなかなかできなかった。でも、練習を重ねるうちに上から強くたたけるようになり、先日も2試合で8打数6安打2ホーマー。1本は逆方向のレフトスタンド、もう1本はバックスクリーンでした。バッティングで僕が意識しているのは、ボールまでの最短距離でバットを出し、腰の回転と体重移動をしっかり合わせていって、フォロースルーを大きく取ること。今まではバットが下から出てしまって直球に詰まらされたり、変化球で簡単に打ち取られることも多かったですが、対応できるようになった。これは本当に大きいですね。」



PICK UP!

新着情報