カラダづくり

知っておきたい食物アレルギー

2015.11.30
 アスリートにとって体をつくるためには栄養バランスのよい食事が欠かせませんが、中には特定の食べ物に過剰に反応してしまうアレルギーを持った選手がいます。

 食物アレルギーにはアナフィラキシーショックと呼ばれる即時型(通常2時間以内)アレルギー反応と、食後数時間~数日後に頭痛やめまい、腹痛、下痢、疲労感、アトピー様の皮膚疾患などの症状が現れる遅発型フードアレルギーがあります。最近ではプロテニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手が、小麦に含まれるグルテンによる遅発型食物アレルギーを公表して話題となりました。また、まれにアレルギーの原因となる食べ物を食べてから数時間以内に運動することによって、アレルギー反応が起こる食物依存性の運動誘発アナフィラキシーというアレルギー反応があります。

 食物アレルギーの中で最も深刻で時に生命の危険を伴うことがあるアナフィラキシーショックは、蜂に刺されたときなどに起こる即時性アレルギー反応です。じんましんや皮膚が赤く、かゆみを伴ったり、むくみなどがよく見られますが、気道においてもむくみや腫れなどを伴うと喘息発作のように咳が止まらなくなったり、呼吸困難におちいることもあります。また消化器系の症状としては腹痛や嘔吐、下痢などを伴い、こうした症状が複数みられるとアレルギー性のショックを疑う必要があります。全身の状態が悪くなってしまうと、血圧の低下や失神、失禁がみられることもあり、命に関わる重篤な事態となるため、すぐに救急車を要請しなければなりません。厚生労働省はアレルギーの原因となる特定の食材として卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の7食品を表示義務のある食材として指定しています。

 食物アレルギーを持つ人の中には、重度のアナフィラキシーショックに備え、医師からエピペンというアナフィラキシー補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)を処方されている人もいます。通常、注射という医療行為を一般人が行うことはできませんが、このエピペンという注射に関しては本人がアナフィラキシーショック時に太ももに自分で注射すること、また本人が注射を打てる状況ではない場合は一般人が救命のために注射することが認められています。

 選手を預かる指導者の方々には、選手の食物アレルギーを事前に必ず確認しておくこと、万が一に備えてアナフィラキシーショックの症状や適切な対応を事前に理解しておくことが大切です。

参考ページ)JFA日本サッカー協会 メディカルインフォメーション 命を脅かす食物アレルギー
http://www.jfa.jp/football_family/medical/a06.html

  食物アレルギーの正しい知識と対処法を覚えておこう





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