カラダづくり

よく噛んで食べよう

2015.10.23
 ここ最近、私たちの食事内容はめまぐるしい変化を遂げ、欧米化が進んでいると言われています。農業の技術革新などによってさまざまな食べものが季節を問わず年中食べられることが多くなり、外食産業やコンビニエンスストアの台頭、スーパーに並ぶお惣菜や仕出し弁当などは、日々の生活に必要不可欠なものとなりつつあります。

 以前に比べて「軟らかい」「食べやすい」食料が多くなり、食事にかける時間や咀嚼回数も減っているという興味深い資料があります。「料理別咀嚼回数ガイド」(風人社)に掲載されている斎藤滋氏ほかの復元食による研究によると、一回の食事にかける時間と咀嚼回数は

●弥生時代の復元食 3990回(51分)
●鎌倉時代の復元食 2654回(26分)
●戦前の復元食   1420回(22分)
●現代の食事     620回(11分)

 と時代とともに食事時間と咀嚼回数が減っていることが報告されています。

 アスリートにとってもよく噛んで食べること、すなわち咀嚼回数を増やすことはパフォーマンスアップにつながります。咀嚼回数が増えると顎、頭部、顔面の筋肉をより多く動かすため、血流がよくなり、脳の活性化を促すことが知られています。特に朝食はしっかり噛むことでボーッとした頭を目覚めさせることにも役立ちます。また咀嚼回数が増えることで唾液の分泌が多くなり、唾液に含まれる消化酵素が食事の吸収を助けるため、栄養の吸収率はよく噛んで食べたときのほうが効率がよいと言われています。さらに唾液には免疫力を上げる抗体が多く含まれているので、風邪を始めとする感染症予防にも効果が期待できます。

 最近では軟らかい食材を使った食事だけではなく、ゼリータイプの飲料や栄養補助食品などあまり噛まなくても食べられる商品も増えています。こうしたものに頼った食生活を長く続けていると、必然的に噛む回数が減ってしまい、噛むことによるメリットを享受できなくなります。咀嚼はよく顎を使い、脳へ刺激を与えることで集中力アップにつながるとも言われています。アスリートとしては余裕を持った食事の時間を確保し、ゆっくりよく噛んで食べることを心がけてみましょう。一度、自分が口に入れて何回噛んで、飲み込んでいるかを数えてみるとその少なさに驚くと思います。また軟らかい食べものばかりではなく、食べ応えのあるものをあえてチョイスすることも大切です。食事の工夫としては雑穀ご飯や玄米入りご飯、ごぼうやレンコンなどの根菜類、食物繊維を多く含むキノコ類などをうまく取り入れてみましょう。

  食べ応えのあるものを選び、顎をよく使おう



  


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