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【中学軟式野球】名門・東山クラブ(愛知) ~複合バットを使わない打者陣~

2015.7.7

 ダブルヘッターの場合、大会規定により、ピッチャーが1試合に登板できるイニングは7回(特別延長含まず)と決められている。三島はもう投げられないということだ。このなかで、先発を任されたのが準決勝では一番ショートで出場していた加納。1年のときにヒジを痛め、ピッチャーとして復帰したのは3年春に入ってからである。

 決勝の相手は、鈴鹿市立神戸中(三重)。チームを指揮する濱口陽監督の父は、今春全日本少年に出場した鳥羽東中・濱口誠監督(現・加茂中)だ。昨秋の県大会は父が制し、今春は息子が制覇。全国的に見ても、非常に珍しいことだろう。決勝で東山クラブを倒せば、親子による春夏連続全国出場という快挙だった。

 先手を奪ったのは東山クラブ。1回表、二死から山本泰正のヒットや相手のエラーで二三塁とすると、五番・伊藤蓮が左中間を破る二塁打を放ち2点を先制した。以降は、神戸中の先発・小田耀功(2年)の緩急を生かしたピッチングに1安打に抑えられたが、東山クラブの加納も丁寧に低めを突き、的をしぼらせなかった。結局、3安打完封勝利。なお、このうち2安打は一番・林勇輝の二塁打。林は1回戦でも二塁打を放っており、ミート能力の高さを見せた。


 東山クラブの戦いを見て、気になったことがひとつ。ビヨンドマックスなど、いわゆる「飛ぶバット」(複合バット)を誰ひとりとして使っていないことだ。これは、今の中学軟式野球界では大変珍しいことだ。偶然なのか、あるいは意図的なのか、その真意を藤川豊秀監督に聞くと、こう明かしてくれた。

「うちは基本的には使いません。チームを指導するうえで常に考えているのが、『高校につながる野球』です。複合バットのように芯があれだけ長いことは、普通の金属バットや木製バットではありえないこと。バットのバランス自体も、ほかのバットとは違います。中学野球がメインであればいいですが、うちの考えはそうではありませんから」

 これまで、複合バットを使っていれば、長打の可能性があった打球を何本も見てきたという。それでも、「それで負ける分には仕方がない」と割り切っている。

 東山クラブが出場する夏の全日本少年は、8月10日から4日間、横浜スタジアムで開催される。

 現在決まっている代表チームは、次のとおり。
横浜市=横浜市立浜中
神奈川=海老名市立海西中
東 海=東山クラブ(愛知)
近 畿=西京ビッグスターズ(京都)、関西学院中学部(兵庫)
四 国=高知中
沖 縄=豊見城市立豊見城中

 7月中旬には全16チームが出そろう予定となっている。



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