立教池袋が重視しているのが個々の課題に合わせたレベルアップだ。この日も全体のノックが終わると、それ以降の練習は各自で個別のメニューをこなすというものだった。
打ち込みをしたい選手は校舎の5階にあるゴルフ部と共有のスペースでバッティングを行い、守備を強化したい選手は選手同士でノックを行う。また中学の野球部がグラウンドを使っている日は、体育館の外周などもランニングメニューを行うのに活用しているという。
選手たちはその日にどう動くかということに迷うことなく、また監督、部長の指示を待つこともなく、実にスムーズにメニューをこなしていた。自分でやるべきことがよく分かっている証拠といえるだろう。
新チームが発足して約2か月になるが、この時期だから特に心がけていることについても古賀監督に聞いてみた。
「秋はまず怪我をさせないことに気をつけています。そのために選手の動きをよく見て、何かおかしいなと気づいたら早めに言うようにしていますね。ただ自分の限界は自分で下げさせないということも意識しています。
部員がそれほど多くない(現在2学年で22人)ということもありますが、複数のポジションを守れるようにして欲しいとは言っています。特に投手の占める割合は大きいと思っているので、使える投手をなるべく多く揃えられるように秋はいろんな選手を起用しています」
この日の投内連携でも多くの投手がマウンドでノックを受けており、また内野手のノックの前には古賀監督から「外野手でも内野にチャレンジしたい奴は大歓迎だから」と違うポジションへのチャレンジを促していた。部員が少ないチームではこのような取り組みは非常に有効といえるだろう。
東京都内ではダークホース的存在となっている立教池袋だが、強豪校にはあと一歩で及ばないという戦いが続いている。そのあと一歩を乗り越えるために、様々な取り組みも行っているそうだ。
「やっぱり体が細い選手が多いので、毎週水曜日にはトレーニングコーチに来てもらっています。
ゴルフ部と共用の打撃練習ができるスペースも最初は作る予定がなかったのですが、学校にお願いして作ってもらいました。雨でも飛んでくるボールを打てるのは大きいですね。大学のグラウンドを定期的に貸してもらえるのも本当にありがたいです。
強いチームに負けるといつも『惜しかったね』と言ってもらいますが、惜しいチームからは脱却しなければと思っています。高校野球ができる時間は短いので、選手にはその2年数ヶ月を少しでも有効に使うようにということは常々話していますね」
先日行われた秋季大会のブロック予選は残念ながら敗退となったが、都大会に進めなかったのは昨年度のチームも同じである。ここからスペース、時間の有効活用によって春以降大きくレベルアップした戦いを見せてくれることを期待したい。(取材・撮影:西尾典文)