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【静岡高校】練習もトレーニングも正しい方法でやり続ける

2017.5.25
栗林俊輔監督の話を聞く静岡高校野球部の選手達
栗林俊輔監督の話を聞く静岡高校野球部の選手達

明治29年創部、大正15年には夏の甲子園を制し、静校(しずこう)の愛称で親しまれる、長い伝統と高い進学率を誇る静岡高校野球部。近年では堀内謙伍選手(楽天)、鈴木将平選手(西武)と2年連続でプロ野球選手を生み出し、記憶にも新しい3月のWBCで活躍した増井俊哉投手(日本ハム)もOBに名を連ねるなど、選手育成にも定評がある全国屈指の名門野球部。そんな静岡高校野球部は一体どんな練習を行っているのか?とある平日の練習の様子を取材した。


◆目 次◆

「何をするのか」より「どうやるか」

曖昧さの排除と正しい練習の継続

「何をするのか」より「どうやるか」

グラウンドから遠く離れた場所からでも鳴り響く軽快なバットの音。練習風景はいたってシンプルであった。
指揮を執る栗林俊輔監督は「他校と違い、特に珍しい練習はやっていません。(取材は)うちでいいんですか?」と謙遜する。

静岡高校野球部の部則が書かれたレリーフ
静岡高校野球部の部則
名門・静岡高校野球部のグラウンド
静岡高校野球部のグラウンド

部員数3学年合わせ43人。けっして多いとは言えないが、伝統として受け継がれる「練習もトレーニングも間違えずに正しくやり続ける信念」が所々に感じられた。

「『何をするのかより、どうやるかが大事』そう選手には常々言っていますね。つまり同じことを繰り返し行い、自分に身につくまでやり続ける。だから僕らは特別な練習ではなく基本に忠実。試合という本番で自分の持っているものを出せば結果は自ずとついてきますから。そのためにしっかりと普段の練習をやるだけ。勝負の八割は準備の段階で決まります。勝負を制すために必要なことだと選手たちが認識し、毎日の練習に取り組むことが一番大切ですよ」と栗林監督は語る。

ネット裏から練習の様子を見つめる栗林俊輔監督
ネット裏から練習の様子を見つめる栗林俊輔監督

この日はバッティング練習に多くの時間を割くスケジュールであった。バッティングに関しては、残念ながら取材当日には不在であったが、今年から元プロ野球選手で静岡高校のOBでもある小田義人氏に月・火を除いた練習日に来てもらい、選手たちは事細かに教えてもらっているという。

栗林監督は小田氏の指導に絶大な信頼を置く。当日は監督・部長もそれぞれ鳥かごから出てきた選手と入念に話をしていた。何を話しているのかと聞くと「簡単なことです。どういった意識を持って打っていたのか、または調子はどうだ、そんなもんです。個々の課題を再確認しているわけですよ。大会が終わった今の期間は選手とそういったことを話せる時期でもありますしね。小田さんが居るときは、ほぼおまかせしています。僕らがやっているのはただの確認作業でしかありませんよ」。

曖昧さの排除と正しい練習の継続

監督というイメージは近づきがたいオーラで、どっしりと構えている光景が自然と頭に思い浮かべてしまう。だが、静岡では指導者と選手が上手くコミュニケーションを取ることで、練習の曖昧な部分を排除する。

「打撃練習だけではなく、普段の食事、トレーニングというものも、専門のトレーナーにしっかりと説明をしてもらい行う。やり方を正しく、間違えずに行い続けることが大切だと僕は思っています。間違った方向に一生懸命に走っても、ゴールは遠ざかってしまう。そのために、選手と対話することで、彼らにちゃんと理解してもらい、正しい方向に導いていけたらと思っています」。

バッティング練習に取り組む静岡高校野球部の線選手たち
バッティング練習に取り組む静岡高校野球部の線選手たち

平日でも全体練習はだいたい20時まで。その後に個人の自主練習を行うと、終わるのは21時半にもなるという。打撃練習を終え、ウエイトトレーニングルームに行くと選手たちは一切談笑せず、それぞれが黙々と必死の形相で練習に励んでいた。

静岡高校のウエイトトレーニングルーム
静岡高校のウエイトトレーニングルーム
談笑もなく黙々とトレーニングに励む静岡高校野球部の選手達
談笑もなく黙々とトレーニングに励む静岡高校野球部の選手達

高い目的意識、さらに決められた事を無駄なく遂行できる信念。特別なことではなく、正しいとわかっていることをやるという指導方針が強さを支えている静岡高校であった。(取材・写真:児島由亮)

栗林俊輔監督プロフィール

静岡高校野球部を率いる栗林俊輔監督
1972年9月8日生まれ、静岡県磐田郡豊田町出身(現・磐田市)。磐田南から筑波大に進学。初任した磐田南では柔道部の顧問を務めた。磐田北・浜松工を経て2008年に静岡に就任。11年から15年まで夏の甲子園3度の出場の実績を持つ。

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