企画

【流れを変えたあのプレー】龍谷大平安(京都) × 智弁学園(奈良)

2017.2.17

グラブを弾く鋭いライナー、強烈なスピンが効いた変則的なゴロが目立った昨年の甲子園。しかし、捕球することが難しい打球を確実に仕留めたからこそ、勝利を掴みとったチームがある。試合の流れを変えたプレーを振り返り、守備の重要性に今一度目を向けてみよう。

第88回選抜高校野球大会 準決勝 平安高校vs智弁学園のスコアボード

【戦評】
両チームのエースが踏ん張る展開となり、1-0で龍谷大平安リードのまま9回裏へ。追い詰められた智弁学園だったが、1死から下位打線の三連打で満塁のチャンスを作り、一番納が2点タイムリーを放ち逆転サヨナラ勝ち。その勢いで決勝も制し、選抜初優勝を果たした。

素早い握りかえが導いたダイレクト返球

関西の強豪対決となったセンバツ準決勝の第1試合。序盤は両チームともランナーを出すものの、智弁学園・村上、龍谷大平安・市岡の両エースが踏ん張り、立ち上がりは無得点のまま試合が進む。

試合が動いたのは3回表の平安の攻撃。1死から二番久保田がライト前ヒットで出塁。2死となり、打席には四番の橋本。初球のストレートを弾き返すと打球はレフト前へ。ここで智弁に守備のミスが出る。レフトの中村が打球を弾いてしまい後逸。その間に一塁ランナーが一気に三塁を回ってホームイン。平安が待望の先制点を挙げる。準々決勝までの3試合で智弁は1失点のみ。投手を中心にした堅い守りが持ち味のチームなだけに痛いミスとなった。けっして慌てる場面ではなかったが、強い打球であり、バウンドにグラブを合わせきることができなったのかもしれない。外野手の捕球エラーから失点したことは智弁にとって大きな痛手となった。

続く、平安のバッターはエースの市岡。アルプスから大音響で流れる独特のチャンステーマにも乗せられて、4球目の高めのストレートを見事にとらえてセンター前へ。追加点かと思われたが、智弁のセンター青木が俊敏な動きで打球を処理。そこから素早い握りかえで、ホームへストライク返球。キャッチャーの岡沢も走路を空けつつ、ライナー性のダイレクト返球をしっかりキャッチし、ランナーにタッチ。素晴らしい連携プレーで、相手の流れを見事に断ち切った。

このプレーで良かった点は二つ。まず、守備のミスで失点した直後のプレーでも、センター、キャッチャーともに慌てることなく正確な送球と捕球を見せたというのが一つ。そしてもう一つは、このプレーの前にキャッチャーで主将の岡沢がマウンドに向かって間をとっていたことだ。エースの村上もエラーしたレフトの中村に声をかけるなど、ミスを引きずらないよう配慮することができていた。打った市岡がピッチャーということもあり、ここで追加点が入っていれば流れは一気に平安に傾いていただろう。

4回以降、村上は完全に立ち直り、平安打線を2安打に封じ込める。そして9回裏に智弁は中村と、好返球を見せた青木が連打でチャンスを作り、一番納のタイムリーで見事な逆転サヨナラ勝ち。守備で流れを断ち切ったことが、その後の逆転劇に繋がったことは間違いない。

(文:西尾典文)