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【本当に使える道具選び:バット編】飛ばないバットはただの棒!振り抜きやすさの向こう側に飛距離がある

2017.1.31

野球人の聖地と呼ばれる野球洋品店「ベースマン」で勤続35年の大ベテラン池北晃明氏。通称「ぺー師匠」が今回の企画の監修者。自身も鳴門高校から青山学院大学と強豪野球部を渡り歩いた、生粋の野球人。今日はバットについて語っていただく!


バットはボールを飛ばさなければ意味を持たない。しかし、飛ばす=力ではない。力がなくてもボールは飛ばせるし、力があっても飛ばせるとは限らない。バットを味方につけることが、飛ばすことに繋がるのだ。己を知り、自分に合った最適なバットを見つけよう。

振り抜きやすさの向こう側に飛距離がある

飛ばないバットはバットではない。それは至極当たり前のことだろう。バッターボックスでボールに当てられない選手がレギュラーになれるだろうか?ヒットを打った、ホームランを打ったという結果は、バットを上手く味方につけてこそなせる技なのだ。

さて、バットには「トップバランス」と「ミドルバランス」大きく分けて二つのタイプがあることはみんなも知っているだろう。しかし、多くの球児がこの二つのタイプの特性を活かしきれず、自分に合っていないタイプのバットを選んでいることが多い。

トップバランスのバットは重いから、パワーのある人間が使うバット。そう勘違いしている球児もいるはずだ。だが、基本的にトップバランスというのは、パワーのない子が使うバットである。なぜなら、ヘッドの重さを利用して打つことがトップバランスの基本だからだ。ヘッドの重さを逆手にとり振る。パワーのない球児が味方につけるにはぴったりの武器ではないだろうか。

パワーのある球児がトップバランスのバットを持つと、ストレートの球に「1,2,3」と対応は可能だが、変化球を投げられた途端にヘッドが走りすぎて、いわゆる「バットをコネる」現象が起き、ゴロ量産型のバッターに変貌してしまうことが多い。だからこそ、パワーのある子は、ミドルバランスのバットを手にし、自分の力を最大限に使い、振り抜きやすさを重視すべきである。

さらに、バットの長さについても合わせて言及したい。キミは短いバットより、長いバットの方が有利だと考えているのではないだろうか。だが、83cmと84cmの差など微々たるもの。それよりも短いバットを使い、操作性を高めた方がいい。これも「振り抜きやすさ」という点に共通する。

店頭に置いてあるバットは実際に振ってみないと気づかないことが多々ある。自分のスイングというものが根本的にわからないのであれば、バットに合わせたスイングをしてみるのも一つの手だ。

もし、力・技量が全く同じ球児が2人いるとしたら、より飛ばせる選手がレギュラーになるはずだ。球児にとってバット選びというのは死活問題。自分のバッティングに合った相性抜群の相棒を手に入れよう。

CHECK!バットは大きく分けて2種類

二つのタイプの特徴を紹介。スイング音で使用するタイプを変えてみよう。

◆ミドルバランスタイプ
バットの中間部分に広い範囲で重心が置かれており、振りやすく、コントロールしやすいのが特徴。同じ重量でもトップバランスより軽く感じる。人気があり各メーカーからロングセラーモデルが多くでている。バットをコネる癖があったり、変化球に対応できない球児はミドルバランスで振り抜きやすさを求めよう。スイングをしたときにピッチャー寄りで『ブン』と鳴るのはポイントが前過ぎるので、ミドルバランスのバットで調整するのもアリ。

◆トップバランスタイプ
バットの先端に重心があり、ボールに負けないヘッドの効いたスイングをするためのバット。パワーのある球児が使うと思われがちだが、じつはその逆。パワーのない球児にオススメのバットだ。先端にある重心が生み出す遠心力を生かしてバットを振ることができるので、遠くへ飛ばすのはもちろん、鋭い打球が打てるようになるぞ。スイングをしたときにキャッチャー寄りで『ブン』と鳴る球児は、トップバランスのバットでヘッドを走らせるスイングをしよう。

個性豊かなバットが目白押し

金属バットが高校野球の歴史に登場したのは1974年。今から遡ること、43年年前である。折れることがなく、経済的負担も少ない金属バットは瞬く間に浸透した。「カキーン」とグラウンドにこだまする音で、高校野球を連想する人も少なくないだろう。昔も今も金属バットの特徴は“飛ぶ”こと。各メーカーこぞって飛ぶバットの開発に余念がない。

その中でも今では“金属バットの王道”と呼ばれ、甲子園を沸かせたスラッガーたちが愛用したのがミズノだ。表面に特殊研磨加工が施されているので、ボールに強烈なスピンをかけられる。耐久性を高めるため、ミクロ組織や微妙な温度条件にまでこだわる徹底ぶり。とはいえ、高校野球の定番ともいえるこのバット最大の特徴は「打感の柔らかさ」だろう。打ったときの感触も気持ち良いので、ぜひ力自慢の子に振って欲しいバットだ。

独自の開発といえばエスエスケイも侮れない。先端にカーリング(曲げ)加工を施すことにより、打球時の力の分散を抑え、反発特性を引き出す「パワーファンクション」は、飛距離が出ると球児にも評判だ。ヘッド側を緩やかに絞り込んでいて、先端にかかるバランスを軽減させる工夫も見逃せない。ミズノのバットに比べると、同じミドルタイプだが金属質の素材の違いが影響してか「打感が硬め」なのが特徴。

ミドルタイプバランスのバットで振り抜きやすさが定評なのはルイスビルのバットだ。このバットの特徴はなんといっても「軽さ」にある。非常に扱いやすく、バットの軽さを求める球児におススメの一本だ。

ここ最近、球児からの人気が高いのがトップバランスタイプのウイルソンだ。インパクト時の力の分散を抑える設計で、パワーを最大限伝えることができる。ヘッドキャップが平らになっているので、力がない子でも軽いと感じられ、とても振り抜きやすい。パワーに自信のない球児にはもってこいのバットといえる。

そして、金属バット界でも特質ともいえるのが美津和タイガー。打感は硬めだが、このバットの特徴は「グリップ」にある。ペー師匠も「Jグリップは非常に理にかなっている」と絶賛。打ちに行くと自然とヘッドが返ってくるため、自分の力でヘッドが返せない球児にはピッタリ。重さも3段階から選べるので、自分に合ったバットを見つけられるぞ。

店頭に数えられないくらいのバットが並んでいる昨今。もしバット選びに悩んでしまったら、店員さんに『どのバットが飛びますか?』と単刀直入に聞いてみるのもいいだろう。最強の武器を手に入れ、一生の思い出に残るホームランを狙ってみよう。

ペー師匠の進言!「グリップテープにこだわるべし!」

「グリップテープもバットの一部」。そういった意識を球児には持ってほしいね。そこでオレがアドバイス。パワーのない子は薄めのテープを巻くこと。そうすれば、バットのヘッドがより速く返るぞ。逆にパワーのある子は厚めのテープを巻いてみろ。

グリップテープは厚さを調整しながら、振り抜きやすいバットへどんどんカスタムしていこうな。素材は革と、合皮があるんだが、練習用には丈夫な革を使え。試合用はフィット感の良い合皮と使い分けていこう。

巻き方のコツとしては、キツく強く締めること。常にストックも用意しておけよ!

次回は【本当に使える道具選び:スパイク編】!