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【瀬谷高校】練習環境を言い訳にしない!効果の高い練習を追い求める県立高校の野心(打撃練習篇)

2017.1.27

昨年夏の神奈川県大会三回戦で東海大相模と1点差の大接戦を演じた神奈川県立瀬谷高校野球部。就任4年目となる平野太一監督の指導で年々力をつけている注目校だ。激戦区神奈川で甲子園を狙う瀬谷高校・野球部の若き指揮官の練習法を取材した。


コース、高さ、タイミングを意識したティー打撃を行う瀬谷高校の選手

◆目次◆
目的別の4ケ所ゲージ
160kmマシン・ティー打撃
コース、高さ、タイミングを意識したティー打撃


目的別の4ケ所ゲージ

守備練習の次に行われたのがバッティング。ケージは4か所設置されているが、一番右のマシンは縦の変化球が設定されている。ここで行うのは変化球の見極め。打席も前後に二か所書かれており、とにかくボールを見る時は後ろ、打つか見送るかの判断をするときは前の打席に入り、高めに入ったボールだけを打つようにしている。

真ん中の二か所で投げるのは実際の投手。実戦さながらに全力でストレートと変化球を交えて投げ込んでくるが、その距離は実戦よりも5m以上短い13mに設定されている。

当然打者が打つのは難しく、快音を響かせることは難しい。ただ、この状況に慣れてくると高校生でトップレベルの投手と対戦しても余裕を持って打席に入ることができるという。この日の練習に参加していた3年生の佐藤捕手も「最初は全く打てなくて意味あるのかなと思いましたが、やっていくうちに自信がつくようになりました」と語り、実際に夏の東海大相模戦でも2安打を放つ活躍を見せている。
一番左の打席はコーチや監督がそれほど速くないボールを早いテンポで投げ、それをリズム良く打つ練習。リリースからインパクトまでが0.4秒になるように計算してベースまでの距離と投げるスピードを調整している。ちなみに150kmのストレートがリリースされてミットに届くまでが約0.41秒。ボールのスピードは速くなくても実際に0.4秒で打つことでその感覚を養っているそうだ。

160kmマシン・ティー打撃

ケージ以外でももう一つマシンを利用した練習がある。スピードを160kmに設定して、とにかくボールを見るというものだ。

150kmを超える高めのボールは打ち返せない、という考えから高いボールはとにかく見逃して、腰より低いボールにバットを出すというものだ。実際に振る時もボールより上を振ることを意識しており、打つというよりも目の訓練の意味合いが強い。

ケージに脇で行われているのがティーバッティング。これは打つのが一番難しいインハイとアウトローに設定して行っている。難しいコースをさばければ、他のコースは楽に打てるという考えからだ。

コース、高さ、タイミングを意識したティー打撃

そしてティー打撃でもコースや高さだけでなくタイミングを意識したものも行っている。マネージャーが「行きまーす」という声に合わせて音を鳴らすのだが『ピー』という音ならストレート、『ピピピピピ』という音なら変化球という設定でストレートは0.4秒後、変化球は0.7秒後に再び音を鳴らし、その音とインパクトのタイミングが合っているか確認するというものだ。

甲高い音を出した際はボールという想定で、打者は見送らなければならないのだ。
「神奈川で甲子園に行くためには打てるチームを作らないと無理」と語る平野監督。夏の東海大相模戦も140km台後半のスピードを誇る北村朋也投手から5点を奪う見事な攻撃を見せたが、それもうなづける工夫を凝らした打撃練習だった。

瀬谷高校はいわゆる普通の県立高校。グラウンドは他の部と兼用であり、全面を使える時間は決して長くはない。ただ平野監督は「そういうことを言い訳にしたくない」と、とにかく良いものをどんどん吸収してアレンジを加えながら効果の高い練習を追求している。同じ県外出身である横浜隼人の水谷哲也監督にアドバイスを求め、他校の指導者との交流の場にも積極的に出席。今年の年始早々にはドミニカの野球現場にも視察に訪れており、技術指導に繋げようとしているそうだ。
1951年の希望ヶ丘高校以来となる、神奈川県立高校の甲子園出場へ。若き指揮官と野球部の挑戦は続いている。(取材・文・写真:西尾典文)