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【高知商業】マーカーを使ったアジリティ

2017.1.13

徳島商、高松商、松山商と並ぶ“四国四商”の一つとして、県内最多の甲子園通算59勝を誇る高知商。近年は明徳義塾の一強が続いているが、同校OBで80年センバツ優勝時の主将であり、中学野球で長く実績を残した上田修身監督が一昨年秋に就任し、巻き返しを狙っている。そんな高知商の冬の練習を取材した。


一つ目は「コの字走」

前のマーカーに向かってスタートし、到達したら右のマーカーへ横移動し再び前のマーカーへダッシュ、そして次は左のマーカーへ横移動、という動きを繰り返す。比較的単純な動きだが、気をつける点が二つある。一つ目は横移動の時は必ずサイドステップで動くということ。そして最後のマーカーで止まる際は細かくステップして止まるということだ(ハーキーストップ)。サイドステップはリードや守備の動きによく使われるもので、そこからいかにスムーズに速くスタートできるかということがポイントとなる。そして走塁では必ず止まる動きが入るため、次の動きに素早く繋げるハーキーストップが重要になるのだ。

二つ目はコの字走を少し複雑にした「コの字のサークル」

走路はコの字走と同じだが、マーカーに到着した時にその周辺を回る動きが加わる。縦に走って到達する時は横移動する側からマーカーを一回転し、横移動して到達した時はマーカーの後ろから一回転してから前にスタートする。コの字走に比べて細かいステップが必要になるが、重要なのは目線を下げないこと。マーカーの位置を確認したら顔を上げて周辺視野を確保するように盛んに指示が飛んでおり、実際のプレーでも周囲をしっかり見るというクセづけに繋げようという狙いが感じられた。

三つ目は「斜め走」

右前方、左前方というようにマーカーに向かってジグザグにダッシュを繰り返すものである。複雑な動きはないが、ここでも意識するのはハーキーストップ。止まる際のこの動きを繰り返し行い、止まってから次の動きを素早くする訓練として有効だという。

四つ目は斜め走を少し複雑にした「N字走」

最初のダッシュは二つ先のマーカーを目指し、そこから一つ右後方のマーカーへ戻る。そして再び二つ先のマーカーまでダッシュし一つ左後方のマーカーへ戻り、また前へダッシュするというもの。走路の軌跡が「N」の字になることからこの名前になっている。

五つ目は「Z(ゼット)」

サイドステップとサークルを応用したものだ。まずスタートで右のマーカーにサイドステップで動き、マーカーの後ろから回って左前方のマーカーにダッシュする。次に到達したマーカーの後ろから回り、サイドステップで右のマーカーへ向かうという動きを繰り返すのだ。N字走と同様に走路の軌跡からZと名付けられている。

六つ目のメニューは「I(アイ)」

今度はその名の通り横への動きは一切ない。まず三つ先のマーカーまでダッシュし、そこから一つ後ろのマーカーに戻り、また三つ先のマーカーまでダッシュするものだ。野球のシーンではスクイズでスタートを切ったがウエストされ、三本間に挟まれる走者を想定した動きになっている。
コの字走、コの字のターンでは90度のターン、斜め走、N字走、Zの三つのメニューでは45度のターン、Iでは180度のターンとあらゆる方向へのターンがあり、また野球のプレーにも繋がる動きが取り入れられていることから、ただの走力アップではないというところが大きな特長と言えるだろう。

(取材・文:西尾典文)



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